『美しさ』の定義は誰が決める?ルッキズムとモデル業界のこれから

「美しい人」と聞いて、あなたはどんな姿を思い浮かべますか?

いつの時代も、私たちの周りには「美しさ」の基準とされるイメージがありました。
特に、華やかなモデルの世界は、多くの人にとって憧れであり、美の象徴だったかもしれません。

しかし、その一方で「こうあるべき」という画一的な美の基準が、誰かを苦しめてきたのも事実です。
それが「ルッキズム(外見至上主義)」という問題。

この記事では、現役モデルが監修する私たちMODEL Bookmark編集部が、この根深い問題に切り込みます。

モデル業界がルッキズムとどう向き合い、今まさに変化しようとしているのか。
そして、これからの時代に本当に求められる「美しさ」とは何なのか。

モデルを目指すあなたも、美しさについて考えたいあなたも、一緒にその答えを探してみませんか?

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「美しさ」の基準は、いつ・誰が作ってきたの?

私たちが無意識に持っている「美しい」という感覚は、実は絶対的なものではありません。
時代や文化、そしてメディアの影響を受けながら、常に形を変えてきました。

時代や文化で変わる「美の基準」

歴史を少しだけ振り返ってみましょう。

例えば平安時代の貴族社会では、ふくよかな顔立ちに、長く美しい黒髪が美人の条件でした。
眉を剃って額に描き直す「引眉(ひきまゆ)」や、歯を黒く染める「お歯黒」も、高貴な美しさの象徴だったのです。

時代は下って江戸時代になると、浮世絵に描かれるような、すっと通った鼻筋に小さなおちょぼ口、そして透き通るような色白の肌が美しいとされました。

  • 平安時代: ふくよかな顔立ち、長い黒髪、引眉、お歯黒
  • 江戸時代: 色白の肌、すっとした鼻筋、おちょぼ口
  • 現代: (あなたが思う「美しさ」はどんなものでしょうか?)

このように、美の基準は驚くほど移り変わってきました。
今、私たちが当たり前だと思っている美のイメージも、100年後には全く違うものになっているかもしれないのです。

メディアが作り上げた「理想のモデル像」

近代以降、私たちの美意識に特に大きな影響を与えてきたのが、テレビや雑誌といったメディアです。

メディアは、特定のイメージを持つモデルを「美しい姿」として繰り返し映し出してきました。
例えば、すらりと伸びた手足、小さな顔、痩せた身体、白い肌といった特徴です。

もちろん、彼女たちの姿は多くの人に夢や憧れを与えてくれました。
しかしその一方で、こうした画一的なイメージが「これこそが美しさだ」という社会的な基準を形成し、ルッキズムを助長する一因になったことも否定できません。

「ルッキズム」とは?モデル業界が抱える光と影

最近よく耳にする「ルッキズム」という言葉。
モデル業界を語る上で、避けては通れないこの問題について、少し深く見ていきましょう。

まず知っておきたい「ルッキズム」の基本

ルッキズム(Lookism)とは、外見至上主義とも訳され、人の価値を外見で判断したり、優劣をつけたり、時には差別したりする考え方や行動を指します。

ルッキズム(外見至上主義)
外見を理由に、その人の能力や価値まで判断してしまうこと。
それによって、社会的な不利益や偏見、差別が生まれる問題。

例えば、就職活動での「顔採用」が問題になったり、日常会話の中で無意識に人の容姿を評価したりすることも、ルッキズムの一端と言えるかもしれません。
これは、誰にとっても身近な問題なのです。

憧れとプレッシャーを生んだモデル業界の功罪

モデルという職業は、まさに「光」と「影」の両面を持っていました。

「光」の側面は、人々に夢や希望、そしてファッションの楽しさを伝えてきたことです。
モデルの着こなす服に胸をときめかせ、美しくあろうと努力するきっかけをもらった人も多いでしょう。

しかし、その裏側には厳しい「影」の側面もありました。
一部のモデルに求められた極端な体型基準や、画一的な美の追求は、モデル自身を心身ともに追い詰めました。
そして、その姿を見る人々にも「こうでなければ価値がない」という大きなプレッシャーや自己否定感を与えてきたのです。

【現場のリアル】変わり始めたモデル業界の「美の基準」

しかし、今、モデル業界の「美の基準」は、大きな変革の時を迎えています。
画一的な美しさから、多様な個性を尊重する時代へ。
現場で起きているリアルな変化をご紹介します。

「ボディポジティブ」という新しい波

この変化の背景にあるのが、「ボディポジティブ」という考え方の広まりです。

これは、「ありのままの自分の身体を受け入れ、愛そう」という世界的なムーブメント。
他人やメディアが作った基準に自分を合わせるのではなく、自分自身の心と身体の健康を大切にしよう、というメッセージです。

この考え方は、モデル業界にも大きな影響を与えています。
痩せていることだけが正義ではなく、健康的で、その人らしい身体こそが美しい、という価値観が広まりつつあるのです。

多様化するモデルたち

ボディポジティブの波に乗り、今、世界中のランウェイや広告で、本当に様々なモデルが活躍しています。

1. プラスサイズモデル

健康的で曲線的な体型を持つモデルたち。アシュリー・グラハムさんのように、世界のトップで活躍する人もいます。

関連: プラスサイズモデルのパイオニア、アシュリー・グラハムのファッション遍歴

2. エイジレスモデル

イーロン・マスクの母であるメイ・マスクさんのように、70代でも現役で活躍し、年齢を重ねたからこその魅力を放つモデルもいます。

関連: メイ・マスク『72歳、今日が人生最高の日』

3. 多様な個性を持つモデル

肌の色が部分的に抜ける白斑を持つウィニー・ハーロウさんや、ダウン症のモデルであるマデリン・スチュアートさんのように、自分だけの個性を武器に輝くモデルが世界にインスピレーションを与えています。

企業やブランドの取り組みの変化

モデルを起用する企業側の意識も、大きく変わってきました。

世界的なブランドであるDoveは、2004年から一般の女性を広告に起用する「リアルビューティー」キャンペーンを展開しています。
また、歌手リアーナがプロデュースするコスメブランドFenty Beautyは、50色以上ものファンデーションを揃え、あらゆる肌の色の人々を祝福する姿勢が熱狂的に支持されています。

日本でも、GUが様々な身長・体型の「リアルサイズモデル」を起用するなど、より多くの人が自分らしくファッションを楽しめるような取り組みが広がっています。

これからのモデルに求められる「本当の美しさ」とは?

では、これからの時代にモデルとして輝くためには、何が必要なのでしょうか。
それは、もはや誰かの真似ではない、「あなただけの美しさ」です。

個性や自分らしさが最大の武器になる

かつてのように、決められた型にはまる必要はもうありません。
むしろ、他の誰とも違う、あなたならではの個性やバックグラウンド、ストーリーこそが最大の武器になります。

大切なのは、他の誰かになろうとすることではありません。
自分のチャームポイントはどこか、どんな魅力を持っているのかを深く理解し、それを表現する力が求められています。

発信力とセルフプロデュース能力

SNSの普及により、モデル自身が一つのメディアとなって情報を発信する力が、これまで以上に重要になっています。

ただ美しいだけでなく、自分の考えやライフスタイル、好きなことを発信し、共感や応援を集めること。

ファンを巻き込み、自分の価値を自分で高めていくセルフプロデュース能力も、現代のモデルに不可欠なスキルです。

内面からにじみ出る「人間的な魅力」

どんなに外見が美しくても、それだけでは人々の心を本当に惹きつけることはできません。

  • 周囲への思いやりや感謝を忘れない心
  • 常に学び続ける知的好奇心
  • 困難に立ち向かうポジティブな姿勢
  • 時間を守る、挨拶をするといった社会人としての基本

こうした内面からにじみ出る人間的な魅力こそが、長く愛され、応援されるモデルになるための土台となります。
外見を磨くと同時に、内面を磨く努力を続けることが、本当の美しさへと繋がるのです。

よくある質問(FAQ)

最後に、ルッキズムや美の多様性に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q: ルッキズムは「美しいものが好き」という自然な感情と何が違うの?

A: 美しいものを好むこと自体は自然な感情です。しかし、ルッキズムは、外見を理由に人の価値を決めつけたり、優劣をつけたり、差別したりする考え方や行動を指します。個人の好みの問題ではなく、社会的な不平等や偏見に繋がる点が大きな違いです。

Q: 多様性と言っても、結局モデルになるには美しくないとダメなのでは?

A: 「美しい」の定義そのものが広がっています。かつてのような画一的な基準だけでなく、個性的な魅力、健康的な体、生き生きとした表情など、様々な「美しさ」が評価されるようになりました。大切なのは、あなた自身のユニークな魅力を理解し、それを求めている場所を見つけることです。

Q: ボディポジティブは、不健康な生活を肯定することにはなりませんか?

A: ボディポジティブは、ありのままの自分を受け入れる考え方であり、不健康を推奨するものではありません。どんな体型であっても、まずは自分を大切にし、心身ともに健康であることを目指すのが本質です。他人と比較して無理なダイエットをするのではなく、自分にとってのベストな状態を目指すことが重要です。

Q: モデルを目指す上で、ルッキズムとどう向き合えばいいですか?

A: まず、ルッキズムという問題が存在することを理解し、メディアやSNSの情報に振り回されない強い心を持つことが大切です。自分の個性を愛し、外見だけでなく内面も磨き続けること。そして、多様性を尊重してくれる事務所やクライアントと仕事をすることを目指しましょう。

Q: SNSで他のモデルと比べてしまい、自己肯定感が下がってしまいます。

A: SNSは人の「一番良い瞬間」を切り取ったものです。見えているものが全てではないことを忘れないでください。情報収集は大切ですが、時にはデジタルデトックスも必要です。自分と同じような悩みを持つモデルのコミュニティに参加したり、信頼できる人に相談したりして、一人で抱え込まないようにしましょう。

まとめ

「美しさ」の定義は、もはや誰か一人が決めるものではありません。

この記事で見てきたように、モデル業界は今、大きな変革の時を迎えています。
画一的な美の基準から、多様な個性を尊重する時代へ。
それは、モデルを目指す人にとっても、私たち一人ひとりにとっても、希望の持てる変化ではないでしょうか。

大切なのは、誰かの決めた「美しさ」に自分を合わせるのではなく、あなただけの「美しさ」を見つけ、自信を持つことです。
外見も内面も、あなたという存在そのものがユニークで価値あるもの。

この記事が、あなたが自分らしさという最高の魅力を輝かせる、きっかけになることを願っています。

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「MODEL Bookmark」は現役モデル『藤原 宏旨』が監修するモデルのための総合情報サイトです。

◆監修|藤原 宏旨 - Hiroshi Fujiwara -

<経歴|Career>
モデルとして10年以上の実績を積み上げ、現役モデルとして活躍しながら現在はWeb事業を手掛ける株式会社リンクカラーの代表として活動。

<Achievement|モデル実績>
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