一般人や事務所に所属しているモデルにかかわらず、写真や動画に人物が移っている場合は、さまざまな権利が発生します。
法律に触れるような権利を知らないと、クレームが来たり、トラブルが発生したりすることもあるのです。
そこで今回は、モデル撮影時によくある用語や質問についてまとめてみました。
肖像権や著作権などの権利を理解して、安全でかつスムーズに制作活動をしていきましょう。
モデルリリース
モデルリリースとは、「肖像権に関する同意書」のことです。
人物(モデル)を被写体として写真や動画を撮った場合、人物側には肖像権が発生します。
モデル側に肖像権利用に関する同意を得ないまま、SNSやインターネットにアップロードしてしまうと、のちにトラブルになることも。
被写体や作品を見た顧客が安全に作品を楽しめるように、モデルリリースを取得しておきましょう。
また、たとえ家族や故人であってもモデルリリースが必要です。
撮影時にはモデルリリースを用意しておくと、安全に制作活動ができます。
プロパティリリース
プロパティリリースとは、「管理者がいる建物(人物以外の被写体)に関する同意書」のことです。
管理者のいる美術品や建物を作品に収める場合には、同意書がなければ、トラブルになる可能性があります。
とはいえ、すべてのケースに同意書が必要ではなく、国が管理している公園や建物などは、プロパティリリースの取得は必要ありません。
また、公共の建物から見える場所に映っているものは、撮影や販売の権利を認めている場合もあります。
スタジアム・博物館などの撮影ポリシーが必要な場所。
有名な風景や歴史上の場所で知的財産権がある場合は、一般的にプロパティリリースが必要なので、注意しましょう。
モデル撮影において気を付けるべきこと
モデルを撮影する際に気を付けべきことは、リリースから逸脱した範囲で権利を使用しないことです。
たとえば、モデルが二次利用を認めていないのに使用すると、著作権の侵害になります。
また、二次利用の停止はもちろんのこと、民法に基づき莫大な損害賠償を請求されることもあるでしょう。
作品にモデルを起用する際は、権利に詳しい専門家に監修してもらった方が安全です。
無所属のモデルをキャスティングする際の注意点
最近では、インターネットの発達により、SNSやマッチングアプリを通じて、モデルを起用することも可能です。
事務所に所属していないフリーランスのモデルを起用する場合はとくに、権利に関する項目をしっかりと定めておきましょう。
仮にフリーランスモデルからリリースを受けたとしても、自由に著作物を使用して良いというわけではありません。
時代の流れが激しい昨今では、一度インターネットに拡散されると、取り返しのつかない事態になることもあるでしょう。
作品の購入者、制作者、モデルのそれぞれが安全に活動できるように、権利の確認をしておくことが大切です。
モデル撮影時のQ&A
ここでは、モデル撮影に関してよくある質問をご紹介します。
クリエイティブ活動をするにあたって重要なポイントになるので、覚えておきましょう。
住宅、著名な建築物のプロパティリリースは必要なの?
個人が特定できるような建物の場合はプロパティーリリースが必要であることがほとんどです。
- コンサート施設、アミューズメントパーク
- 有名な建築物、歴史博物館
- 独特なデザインの乗り物
- 動物
- 特徴的なインテリア
などは、一般的にプロパティリリースが必要でしょう。
撮影時は、私有財産のオーナーからかならず同意を得てください。
自分がモデルになった場合は自由に写真を利用できる?
自分がモデルになった場合の肖像権は自由であっても、撮影した作品には著作権が含まれます。
撮影をおこなった製作者側に権利があるので、自由に写真を使用することはできません。
自分がモデルになり、自分自身で作品を作った場合は、権利を自由に扱うことができます。
肖像権と著作権を誰が所持しているかによるので、注意しましょう。
二次使用料は払うべき?
二次使用料を払うべき場合は、モデルと制作者がお互いに合意した場合のみです。
お互いの同意があれば、二次使用料を支払わなくても問題はありません。
法律でも二次使用料に関する決まりはないので、安心して良いでしょう。
とはいえ、後になってトラブルにならないように、使用料に関する取り決めをしておくことが大切です。
フリーのモデルが事務所所属になった。権利はどうなる?
元々の契約で合意を得ていたものを覆すことは難しいでしょう。
しかし、時間の経過によりその人の心境は変わるものです。
以前は同意を得ていても、将来的なことはわかりません。
いずれにしてもお互いの合意がないまま、作品の利用をしてしまうとトラブルにつながるので注意が必要です。
「モデルリリース・ プロパティリリースって何?肖像権侵害の防止策」まとめ
今回は、モデルを撮影するにあたっての注意事項やよく使われる用語について解説しました。
今後のトラブルを避けるためにも、撮影時のリリースを得るようにしておくことが大切です。
それぞれの権利者が安心に活動できるように準備しましょう。